問題:全身麻酔の特殊な導入について正しいのはどれか。(2022 b18)
(1)甲状軟骨に圧を加えるBURP法では誤嚥を防げない。
(2)ストレスが病態を増悪する疾患は意識下挿管を避ける。
(3)セリック法では輪状軟骨部を前方から3ニュートンで圧迫する。
(4)気管支ファイバーを用いて気管挿管する場合には細径のファイバーを用いる。
(5)気管挿管とマスク換気の両方が困難と予測される場合、意識下挿管の適応に なる。
a (1), (2), (3) b (1), (2), (5) c (1), (4), (5)
d (2), (3), (4) e (3), (4), (5)
解答
b
解説
(1)◯ 喉頭展開時に声門 が十分確認できないときにする頸部圧迫法である.(p.548)
(2)◯ 避けるべき症例としては,鎖静剤の使用が制限されることから,小児を含む非協力患者,かかるスト レスが病態を増悪する疾患(大動脈痴,脳動脈痛切 迫破裂患者など)があげられる.(p.549)
(3)× 輪状軟骨圧迫(cricoid pressure)ともいわれる 手技である.
輪状軟骨を前方から圧迫し, 背側の頸椎と圧迫して食道入口部が閉塞し目からの 食物の逆流を防止する.
誤嚥の危険性を軽減する目 的で行われる.30 N (ニュートン)つまり約3 kgの 力で輪状軟骨部を圧迫し、輪状軟骨後面と頸椎で食道入口部を閉塞させる.
適切に行わないと喉頭展開•気管挿管が困難になる可能性がある.(p.547)
(4)× できる限り太い径のファイバー(成人であれば5 mm程度)のものを用いてファイバースコープに気管チューブを通しておく.
気管支ファイバーを口腔内に進めて声門 を通し気管まで進め,気管内にファイバーが挿入さ れたのを確認した後に吸気に合わせて気管チューブ を進める.(p.549)
(5)◯ 意識下挿管の適応は,
①全身麻酔導入後,気管挿 管とマスク換気の両方が困難と予測される場合
② 誤嚥の危険性が高い人で,挿管困難が予測される場合
③全身麻酔の導入により循環虚脱を起こす可能性がある場合
④揷管後に神経学的評価が必要な場合
⑤フェイスマスク換気困難が予測される場合
があげられる.(p.549)
【術中】全身麻酔の導入・維持
引用文献
周術期管理チームテキスト第4版