“べてるの家”という精神障害をかかえた人たちの有限会社・社会福祉法人では共同作業所・共同住居・通所授産施設などを運営している。そのべてるの家で働く精神障害をかかえている人たちが、自己の抱えている問題を見つめ、それを他者に伝えることでともに考えて、解決していくという「当事者研究」の事例をあげた本となっている。
こんな人に読んでほしい
・精神障害の人に強い偏見をもっている方
・精神障害の人と関わる医療従事者の方
本の紹介文
こんにちは、パパdeナースです。
手術室で看護師をしています、また一児の父親をしている者です。
G.Wもあけましたね。
気温は上がり、天気もいい日が多いですが、コロナのせいでちっとも心が晴れません。
幸いにも当病院では今のところコロナ患者の手術はまだしていません。
ただ、いつ来るか常に怯えている状態です。
日に日にコロナ対策はされて来てはいますが、まだまだ途上です。
同じ医療従事者におかれましては大変お疲れだと思います。
自分も休める時にはしっかり休めるようメリハリのある生活を心掛けていきたいと思います。
さてさて今回は前回書評させてもらいました
『べてるの家の「非」援助論』の中で取り上げていた「当事者研究」をピックアップしたものとなっています。
当事者研究とは、、、
”浦河流に言うと、「自分の苦労の主人公になる」という体験であり、幻覚や妄想などさまざまな不快な症状に隷属し翻弄されていた状況に、自分という人間の生きる足場を築き、生きる主体性を取り戻す作業とでもいえる。”(p4)
と書かれています。
つまりは、病気によって苦しんでいる自分を客観的に捉えることで、その病気を上手に手なずける。
そうすることで、日々を主体的に自分らしく生きることができる。
と、僕は解釈しました。
そしてここが大切なのですが、この「当事者研究」と取り組みは
一人の孤独な作業ではなく、他者を巻き込んで自分を発信する場を通すことによって
”人と人とのつながり”を大切することに重きを置いているのです。
僕がとてもおもしろかったことは、このべてるの家では精神科医の川村先生がいますがほとんど存在感がないということです。
医者がいるなら、みんなもっと先生を頼って適切な治療や薬を処方してもらえばいいんじゃないか、と考えていたからです。
でも、それは違うのです。
医者を強く頼ってしまう患者は決して病気が治らないというのです。
なぜなら、精神疾患の症状をよくするには依存することをやめ、自立することが大切であるからです。
これが「当事者研究」と強く結びつきます。
自分の病気と対峙するためには病気と向き合わなければならないのです。
自分を見つめ、それを他者とわかり合い、ともに問題を解決していくのです。
病気を自分の中で上手に付き合う方法を見つけていく作業なのです。
本文ではいろんな方の症例が見ることができますが、多種多様!
とても素敵な取り組みであると思います。
そして、これができる環境、お互いを認め合う環境や病気についての理解もあるという安心感ができる業であると思います。
べてるの家はとてもあたたかいのです。
この本でビビッときた文章
・当事者研究の取り組みは、一人の孤独な作業ではなく、「人とのつながりの回復」と表裏一体のプロセスとしてある。(p5)
・あんたの息子は、両親に守られているあいだは、病気とは言わんよ。病気とは、守られる者がいなくなってひとり世の中にでてみてはじめて、何もできない自分が、はっきりしてきて、それと向き合っていくんだよ。(p58)
・最初の三年間のほうが今よりもはるかに熱心でしたし、妙に、いやらしいほどの思いやりがありました。「患者さんのため」「病気のため」って、いかにも医者らしかったんです。(p260)
・医療者として大事なことの一つは、自分が無力なこと、限界があるということを知ることです。(p262)
・「精神病の人は、自分を自分で助ける方法を身につけられる」ーこれが、べてるが長い間かけて見つけたことの一つです。(p266)
・人間としてもっているジクジクした、もっとも生々しいものに一緒に直面する。それが看護というものを象徴しているし、それはほんとうにすごいとわたしは思うんです。そこには、医学とは違ったもっと深い可能性が秘められているように思います。(p279)
今日からできる小さなステップ
自分のかかえている日々のわだかまりを家族、友人に聞いて率直な意見を聞いてみる
1行まとめ
「自分自身で、共に」
今日の息子くん
家にいる時間が多く退屈している様子。
最近では、家で「肩車をして!」と催促されることもしばしば
やってもいいんですが、如何せん我が家は天井が低く、部屋を移動している間に
ポカポカ、頭を打って、赤くなっています。
本人はそれも楽しそう。(妻にはめっちゃ怒られました。)
外に出られるようになったらもっと楽しいことをいっぱいさせてあげよう、と思う今日この頃です。