潰瘍性大腸炎となった氏の壮絶な闘病生活から考えた食についての人との関わり、食べるものからそれを消化し排泄に至るまでの思考があげられる。
本の紹介
私自身、この本を読むまで偏食はあまりないため、偏食の人をやや馬鹿にしていた節があることをはたと気づかされた。
少し考えれば人それぞれいるわけで食の好みもそりゃ別々だろうが、と云うのに。
「食コミュニケーションー共食」の章の話も強烈であった。
人と食、は切っても切れないのであると強く感じる。
と同時に同じ釜の飯を食うではないが
自分の振る舞った料理を食してくれない(あげたもの)を拒否されると
心なしか自分の存在自体を拒まれた感覚になるのは
食とはなんと根強いものなのかと心底感じた。
この感覚は自分にも染み付いたいるなと思う。
あと、氏が主張していたことで心を留めた箇所としては
自分の世界に存在する“目に見えない人”がたくさんいることを気づくことの大切さである。
どうしても自分の世界に固執しがちであるため、自分の周囲の外には想像力が働かないものである。
このことについて氏は、経験することでしかわからない絶対的な壁がある、と。
そのアドバイスとして「何か事情があるかもしれない」
「本当はそういう人ではないかもしれない」という他者への意識が必要なのであると。
他者に色眼鏡をかけないようにする心がけ一つで救われるのである。
食から考える人とのコミュニケーションについて学ぶとは全く思いもよらなかった。