湯槇ます氏を監修し、日本語訳に表したナイチンゲール著作集全3巻の1巻。内容は、『カイゼルスウェルト学園によせて』『女性による陸軍病院の看護』『看護覚え書』『インドの病院における看護』の4編が収録されている。とくに、処女作『カイゼルスウェルト』はナイチンゲールの看護に対する情熱を文面から感じ取れるため一読の価値はある。
本の紹介文
こんにちは、パパdeオペ室ナースです。
ついに、著作集に挑む日が来ました。
いままで、ナイチンゲールの本を読んできましたが
それはこの本を読むための準備でした。
時代背景、国や宗教などの知識をこれまでの本で得てきました。
で、著作集ですが、、、
極厚です。全3巻あります。圧巻です。
今回はその1巻目であります。
中には『看護覚え書』も入っていますが以前読ませていただいたので割愛します。
私がとくに注目したのは『カイゼルスウェルト学園によせて』という
ナイチンゲールの処女作です。
これを読むだけでこの本を買う価値はある、と断言できます。
ページ数も30p程度で読むのが苦手な方でも1時間かからないで読めます。
このカイゼルスウェルト学園とは当時なかった病院、幼児学校、孤児院、救護院、師範学校などが含まれた施設のことであり、彼女は親の同意の元、この学園に看護婦として3ヶ月ほど専門訓練を積んでいます。
本書ではナイチンゲールは、この施設のあり方を説明するとともに、女性がこれからはどんどん自立するべきであることに加え、この施設のディーコネス(婦人執事)のような女性の働きぶりを賞賛しています。
この文章には、ナイチンゲールの暗い、皮肉的な印象はまったくなく、純粋にこの施設でも体験を生き生きと語っている様子が見て取れるような印象を与えます。
ナイチンゲール自身が“看護の芽が開いた”としたらおそらくこのとき体験が多く影響しているのは間違いと思います。
以後この論文に対してナイチンゲールは否定的な意見を述べているようですが、それを加味しても彼女の原点を知るにはこの書は間違いなく読む価値はあると断言できます。
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書籍からの引用
・彼女が世にいわれるような、たんなるヒューマニストや慈善家などではなく、自らの主張にーそれが現実を直視することを通してつかみとったものであるがゆえにー揺るぎない確信と熱意とをもち、しかもその信念を実現することに生涯情熱を燃やし続けたいだいな思想家であったということである。いのちと健康について彼女ほど深くかつ具体的に考え、実践した思想家はほかには見出せないであろう。(pⅱ)
・19世紀は「女性の世紀」となるにちがいない、という古い言い伝えがある。ところが、この言い伝えが私たちの祖先の知恵を表しているかいないかは別として、ともかく英国の女性は今までのところ、つまり今世紀の中ごろまでにおいては、19世紀が女性の世紀ではなかったことをよく知っている。(p3)
・つまり、それは結婚の華やかさへのたんなる愚かな望みなどではないということである。—(独身生活における)「愛のない生活と目標のない活動」は考えただけでも恐ろしく、現実においては退屈きわまりないものだからである。(p5)
・カイゼルスウェルトでは《誰も》が同じ困窮の中にあり、同じ克己心を発揮しており、同一の目的—ひとつの精神、ひとつの愛、唯一の主—に連なっているのである。(p15)
・フリードナー牧師は、看護婦に対しほかに例を見ない平易さで教えることと、彼らに対し絶えず注意深く見守ることとによって、種々の危険から看護婦と患者とを共に見守っているのである。(p17)
・そのように感ずる女性たちにカイゼルスウェルトへ行ってもらい、キリスト教的愛のやさしさや明るさ繊細さ、一口にいえば、道徳的雰囲気—病人たちも看護婦たちも加味を学ぶようになる神の学校をつくることによって、病院中に浸透している雰囲気—味わってもらいたい。(p18)
今日からできる小さなステップ
自分の中の看護の情熱とはなにかをもう一度考えてみる。ささやかなことでもいい。自分の大切にしている看護観を仲にいい相手にこっそり伝えてみる。
1行まとめ
‘時代を動かすのに必要なのはいつだって情熱である’ことをナイチンゲールは私たちに教えてくれる。
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