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書評006冊『新訳・ナイチンゲール書簡集 看護婦と見習生への書簡』編訳:湯槇ます他

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ナイチンゲールが聖トマス病院の看護婦と見習生に宛てた公的な手紙集。この手紙の中から湯槇氏らが選別し8選にまとめた。看護とは、優れた女性とは、患者と向き合うこととは、などナイチンゲールの一人の人間としてどのようによりよく生きていけば良いのかのヒントを教えてくれる珠玉の一冊。

本の紹介文

こんにちは、パパdeオペ室ナースです。

今回は、ナイチンゲールが看護婦、見習生に宛てた手紙集です。

ナイチンゲールの理想の看護婦像には2つ条件があって

1、正しい知識、実践ができることが絶対条件であり、

2、倫理的な要請(患者ひとりひとりに真摯に向き合う姿勢)を持つ

である。

他にも看護とは日々の小さな看護実践の集まりであり、その個々の実践に丁寧に取り組むことが自己の人間性を高め、患者によりよい看護を提供できるという趣旨も述べている。

このような格言はあちこちにみられる。

私個人的には、看護学生によく読まれている『看護覚え書き』もいいですが、

ぜひこの『ナイチンゲール書簡集』も読んでほしい。

文体も非常に読みやすいし、ナイチンゲールの看護に対する思いがとてもストレートに伝わる本である。

やや宗教的な内容も含まれていて読みづらい部分もあるのだが、それでも読む価値多いにある。

特に、私がビビッと感じたポイントとしては、

あなたが行なう看護とはそれすべてがあなたの人間性を反映している

というナイチンゲールの言及である。

自分の人間性を高めずしてより高みの看護を患者に提供できない、ということを考えさせられた。

この本は一見看護についての本であるのだが、生きるとは何か、という人生訓としての趣もある書である。

看護以外の方が読んでも多いに共感できるものであり、ナイチンゲールを知るにはとてもよい入門書である。

この本でビビッときた文章とそれについてのつぶやき

・私たち看護するものにとって、看護とは、私たちが年ごと月ごと週ごとに《進歩》しつづけていないかぎりは、まさに《退歩》しているといえる、そういうものなのです。(p3)

→これは各分野のプロフェッショナルの共通認識ですね。

 

・というのは、教育の仕事は別として、世の中で看護ほどに、その仕事において《自分が何を為しうるか》が、《自分がどのような人間であるか》にかかっている職は、他にはないからです。(p7)

→私の看護=私の人間性ということでしょうか。

 

・最後に、病んでいる肉体を適切に看護すること、それもたしかに愛です。病める心や悩み疲れた人々に忍耐強く適切な看護をすること、それはさらに大きな愛があります。それはたとえば、私たちに対して不善なる人にも善を行ない、私たちに対してつらく当たる人にも好意をもって接し、私たちの好意を素直に受け入れてくれない人に対しても愛をもって仕え、私たちが侮辱を受けたときにも、また受けたと思われたときにも、またもっとひどく傷つけられた時でも、相手をその場で許すということなのです。(p26)

 

・あるシスターは、他の誰からよりも患者から教えられることが多いと話していました。私とてもまさに同じことです。最も貧しく平凡で身分の低い患者のほうが、私たちの中で最も如才ない者や最もうぬぼれの強い者などよりも、先に神の王国に入るかもしれません。(p33)

 

・看護婦でありつづけるかぎり、私たちは常に患者と共にいるのです。(p36)

 

・「互いに思うことをひとつにし」とあるのは、私たちが他の人と同じ思いと気持とをもち、「喜ぶ者と共に喜び、泣く者と共に泣き」、自分の中から出て他の人の思いの中に入っていく、という意味です。(p46)

 

・「頼りになるのは自分という人間の人間性だけである」(p77)

 

・上に立つ者は公正でなければなりません。不公正ではあってはならないのです。(p99)

 

・もう充分にわかっていることですからあまり繰り返しませんが、女性、特に看護婦は、牧師や神父のようにでは《なく》、自分自身の人間性からにじみ出すものによって、静かに、しかしはっきりと周囲に影響を及ぼしていくような伝道者となるべきです。(p101)

 

・私たちの昨年の行ないをふり返るときは、それでもって高慢になるのではなく、それでもって自分を励ますようにしなさい。そうしていれば失敗することはないでしょう。今年も失敗は許されないのです。この目標に向かって努力を続け、さらに目標を高めていくことが必要です。なぜなら私たちの「職」は高いからです。それは「小さなこまごましたこと」から成り立っており、〈小さなこまごましたこと〉の中での高度の優秀性が要求される職であることを、忘れないでください。そして私たちはこの職に対して、さらにもっと打ち込むことによって、またさらにもっと謙虚になることによって、応えていかなければなりません。(p109)

→まさに‘神は細部に宿る’ということである。

 

・看護婦というものは、自分の好きな仕事はこなせるが嫌いな仕事はこなさせない、というものではないのです。(p111)

 

・看護婦という存在は、最も弱り果てている病人にとって、また多くの場合は最も気むずかしい病人にとって、最も必要とされるのです。(p140)

→このような患者と向き合えるかが看護師の力量が問われるのであろう。

 

・優れた看護婦は優れた女性でなければなりません。優れた女性とは、医師の指示に従って、自分のもてる最上のものーその知性、倫理、実践のすべてにおける最上のものーを患者に惜しみもなく与える女性のことなのです。(p146)

→看護婦としてだけではなく、一人の人間としての高い要求を求めている。

 

・看護とは、《人の一生と同じように》厳粛でかつ喜びにあふれたものであって、たゆみない訓練と経験と忍耐と、衝動に駆り立てられたものでない献身と、そしてこれらすべてを積み重ねていく力とが要求されるものなのです。決してこれらを捨て去ることではないのです。(p170)

→ナイチンゲールの掲げる理想の看護師像に言及している。

今日からできる小さなステップ

現状に満足せず、常に今日の仕事から何を得たかをメモにする。

1行まとめ

本書は看護とは日々の小さなこまごました看護行為の集まりであり、その看護行為一つ一つに真摯に向き合うことの大切さを教えてくれる。

 

ABOUT ME
パパdeナース@オペ室
2013年入職よりずっとオペ室で看護師してます。メンズナースです。男の子の親でもあります。主に仕事や育児についての読書ブログ書いてます。
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