こんにちは、パパでナースです。
今回は【放射線被曝のえいきょうについて】お話していきたいと思います。
放射線を扱う医療従事者にとって、職業被曝のリスク管理は必須です。
しかし、日々の業務の中で防護対策が十分にできているでしょうか?
この記事では、放射線障害防止法に基づく管理方法や、個人被曝量のモニタリング、実践的な防護手段をわかりやすく解説します。
さらに、最新の放射線防護用具や適切な装着方法についても詳しく紹介します。
自分自身と患者さんの安全を守るためのポイントを押さえ、より安全で信頼できる医療現場を目指しましょう。
Contents
【手術室内での放射線被曝について】
手術室での放射線被曝は、近年の医療技術の進歩に伴い、ますます重要な問題となっています。
放射線被曝は、自然放射線源によるものと人工放射線源によるものに分類されます。
自然放射線被曝は避けられませんが、人工放射線被曝は医療被曝、職業被曝、公衆被曝に分類されます。
特に手術室では、ハイブリッド手術室でのインターベンショナルラジオロジー(IVR)や大動脈ステントグラフト内挿術(TEVAR)、経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)などの高度な手術が行われることで、職業被曝の機会が増加しています。
これらの手術は長時間かかり、撮影回数も多いため、手術室内で働く医師、看護師、放射線技師は職業被曝のリスクが高まります。
しかし、医療被曝には限度がなく、患者の診断と治療を優先するため、医療従事者は無自覚に被曝する可能性があります。
今後、職業被曝は増え続けると考えられるため、放射線被曝に関する正しい知識が必要となります。
・放射線被曝は自然放射線源と人工放射線源に分類される。
・人工放射線被曝は医療被曝、職業被曝、公衆被曝に大別される。
【放射線の単位について】
放射線の影響を評価するためには、正しい単位を理解することが重要です。
放射線の単位には、吸収線量(Gy:グレイ)と線量当量(Sv:シーベルト)があります。
吸収線量(Gy)は、ある物質や生体が放射線から受けたエネルギーを表します。
生体に放射線が照射された場合、その身体の部分の質量(kg)で割った値で示されます。
吸収線量は、被曝条件が異なる場合には比較できません。
一方、線量当量(Sv)は、放射線の種類やエネルギーによって人体組織への影響が異なることを考慮した単位です。
等価線量と実効線量の両方で用いられ、放射線防護に役立ちます。
等価線量は、放射線の種類によって異なる放射線加重係数を吸収線量に乗じて求められます。
医療被曝や職業被曝では、ほとんどの場合、1 Gy = 1 Sv と考えてよいでしょう。
実効線量は、各臓器の影響を示す等価線量に、臓器ごとに決められた影響の割合(組織加重係数)を乗じて加算した総計値です。
等価線量と実効線量は、被曝によって生じる確率的影響(癌化や遺伝的影響)の推定に用いられます。
・放射線の単位には吸収線量(Gy)と線量当量(Sv)がある。
・吸収線量は物質や生体が受けたエネルギーを表す単位。
・線量当量は放射線の種類やエネルギーによる人体への影響を考慮した単位。
・等価線量は、放射線の種類によって異なる放射線加重係数を考慮した単位。
まとめ
実効線量は、各臓器の影響を総合的に評価する単位で、確率的影響の推定に用いられる。
放射線の単位を理解することは、放射線防護や被曝リスクの評価において非常に重要です。
特に医療分野での被曝や職業被曝では、放射線の種類やエネルギーに応じた適切な線量評価が求められます。
これらの知識を活用して、より安全な放射線利用を目指しましょう。
【人体に対する放射線被曝の影響】
DNAの損傷によって生じ、その程度は被曝線量に依存します。
軽度の被曝では、DNAの損傷が修復されるか、細胞死が起こり、問題が表れません。
しかし、大量の放射線を一度に被曝すると、DNA損傷が修復されず、細胞死が大量に起こり、組織損傷が生じます。
これらの影響は確定的影響と呼ばれます。
一方で、DNAの不完全修復によって突然変異が生じると、癌化や遺伝的影響が発生する可能性があります。
これらの影響は確率的影響と呼ばれ、被曝線量に応じて増加すると考えられています。
放射線障害防止法や医療法では、実効線量限度や等価線量限度が定められており、特に妊娠中の女性や職業被曝者に対して厳しい線量制限が設けられています。
これは、放射線を扱わない一般人の被曝リスクを上回らないようにするためです。
・影響は確定的影響と確率的影響に分類され、被曝線量に依存する。
・放射線障害防止法や医療法では、実効線量限度や等価線量限度が定められている。
【医療従事者の被曝量】
医療従事者の放射線被曝は、職種によって異なりますが、一般的に診療放射線技師、医師、看護師の順に多くなっています。
特に、ハイブリッド手術室で働く医師は、放射線源に近い位置で手術を行うため、被曝量が増加する可能性があります。
IVRやTAVIなどの手術は、時間がかかるため、医療従事者の被曝リスクが高まります。
また、ハイブリッド手術室は比較的新しい技術であるため、従事者の被曝に関するデータはまだ少ないです。
防護衣は90%程度の遮蔽効果があるものの、完璧な遮蔽ではありません。
例えば、TAVIを担当する医師が1年間で70回手術を行う場合、職業被曝の実効線量限度50mSv年を超えることがあります。
医療従事者が被曝する放射線は、患者からの散乱放射線(二次X線)であり、適切な距離を保つことで被曝量を減らすことができます。
医療従事者は、被曝リスクを低減するための注意を怠らず、適切な防護措置を講じることが重要です。
まとめ
医療従事者は、放射線被曝のリスクを十分に理解し、適切な防護措置をとることが重要です。
定期的な研修や教育を受けることで、最新の知識を身につけ、被曝リスクを最小限に抑えることができます。
また、病院や医療機関は、職員の被曝量を把握し、適切な対策を講じることが求められます。
さらに、医療従事者自身が被曝量を管理するために、定期的に被曝状況をチェックし、必要に応じて業務内容を見直すことも重要です。
【職業被曝の管理と防護について】
医療従事者が放射線被曝を防ぐために、放射線障害防止法に基づく一連の手続きと防護対策が実施されています。
放射線取り扱い主任者の任命や放射線障害予防規定の策定、研修が義務付けられています。
また、個人の被曝状況は蛍光ガラス線量計によってモニタリングされ、定期的に健康診断を受けることが求められています。
放射線防護用具も効果的に使用することが重要で、防護衣や眼鏡、ネックガードなどが活用されます。
職業被曝防護の三原則は、距離、遮蔽、時間を意識することです。
・放射線障害防止法に基づく手続きと防護対策が必要
・定期的な健康診断の受診
・職業被曝防護の三原則:距離、遮蔽、時間を意識する
Q&A
Q1: 放射線障害防止法で義務付けられている主な内容は何ですか?
A1: 放射線障害防止法では、放射線取り扱い主任者の任命、放射線障害予防規定の策定、および従事者の研修が義務付けられています。
Q2: 職業被曝防護の三原則とは何ですか?
A2: 職業被曝防護の三原則は、放射線源からできるだけ距離をとる(距離)、放射線を遮蔽する(遮蔽)、線源を扱う時間を短くする(時間)ことです。
Q3: 放射線防護用具の適切な管理方法は何ですか?
A3: 防護衣は使用期限を目安にし、定期的に品質を管理することが重要です。
また、使用しないときは折りたたまずハンガーにかけて保管することが推奨されます。
その他の防護用具も適切に取り扱い、保管することが必要です。
おわりに
この記事を通して、職業被曝のリスク管理や放射線防護の重要性を再認識できましたか。
患者さんだけでなく、医療従事者自身の安全確保も大切です。
今後の業務で学んだ知識を活かし、適切な防護対策を実践しましょう。
また、定期的な健康診断や最新の防護用具の取り入れを検討することも忘れずにしましょう。
医療従事者が自身の安全を守ることで、より安心して患者さんに寄り添い、信頼される医療現場を築いていくことができます。
さあ、今日からあなたも放射線防護のプロフェッショナルを目指していきましょう!!
参考文献
周術期管理チームテキスト第4版