こんにちは、パパでナースです。
今回は【オペ後の喉頭血腫】についてです。
手術後に喉頭浮腫や血腫が生じることがあり、これにより呼吸が困難になることも。
そんな悩みを持つ方のために、本記事では手術後の喉頭トラブルへの対処法を解説します。
緊急時の気道確保テクニックや低酸素血症対策、さらには上・下気道閉塞解消法についても詳しくご紹介していきます。
Contents
手術後の喉頭浮腫と喉頭血腫について
手術後の喉頭浮腫と喉頭血腫は、長時間の服従位や頭低位での手術や水分バランスの過剰、上大静脈のうっ滞、頭頸部の放射線療法後などでリスクが高まります。
顔面浮腫や結膜浮脚が見られる場合は、喉頭浮腫の兆候である可能性があります。
口腔内、頸部、頸推の手術や頸部の中心静脈カテーテル穿刺、神経ブロックなどの医療処置でも喉頭浮腫や喉頭血腫が生じることがあります。
抜管前には、喉頭の観察や気管チューブのカフを脱気し、気道狭窄の評価が必要です。
術後に持続する血腫が気道狭窄を引き起こすことがあり、十分な観察と気道確保が重要です。
特に口腔内の感染症治療後は、炎症が喉頭に広がりやすく、浮腫が消失するまで人工呼吸の継続を検討することがあります。
頻繁な気管挿管操作や不適切な操作は、軟部組織を傷つけて喉頭浮腫を引き起こす原因となります。
さらに、披裂軟骨脱臼が発生すると、声門の開閉が悪くなることがあります。
対策
1,用手的処置
気道確保とマスク換気について話していきます。
100%酸素を投与し、下顎挙上や項部後屈を行うことで、舌骨と喉頭が持ち上がり、気道の開放が得られることが多いです。
マスク換気では、手動で加圧して閉塞の解消を試みます。
咽頭で閉塞が起こっている場合、エアウェイや声門上器具を使って気道を開放させることができます。
エアウェイには経口と経鼻の2種類があり、喉頭蓋の直上まで挿入します。
ただし、凝固異常のある患者では鼻出血が起こりやすいため、相対的に禁忌です。
声門上器具も緊急時に備えて常備することが重要です。気道確保後にその中を通して気管挿管が可能な器具が有用です。
しかし、喉頭で閉塞が起こっている場合、エアウェイや声門上器具では気道を開放させることはできません。
気道確保後も自発呼吸が十分でない場合は、マスク換気を行います。
日本麻酔科学会は換気状態の3段階評価分類とそれらの臨床的解釈のガイドラインを提供しています。
2,外科的処置
換気不能・挿管不能(CVCI: cannot ventilate, cannot intubate)の緊急事態では、外科的処置が必要になります。
気管切開を行う時間的余裕がない場合は、救命的気道確保手段として輪状甲状膜穿刺や輪状甲状膜切開を行い、小口径の気管チューブを挿入します。
緊急事態に備えて、輪状甲状膜穿刺キットや外科的輪状甲状膜切開のセットを準備し、穿刺や切開ができるように訓練することが重要です。
3,全身評価
上気道閉塞が解除されてもSpO2(血中酸素飽和度)が上昇しない場合は、下気道閉塞の合併を考慮する必要があります。
喉頭癌の手術後にNPPE(陰圧性肺水腫)を引き起こしていることもあります。
低酸素血症が長時間続くと、高度な徐脈や低血圧が現れ、心臓や脳などに負担がかかるため、評価と治療が必要です。
まとめ
手術後の喉頭浮腫や血腫対策として、気道確保、マスク換気、緊急時の外科的処置が重要です。
低酸素血症が続くと心臓や脳に負担がかかるため、評価と治療が必要です。
気道確保: 下顎挙上、項部後屈、エアウェイや声門上器具の使用
マスク換気: 換気状態の評価と適切な換気法の実施
緊急時の外科的処置: 輪状甲状膜穿刺、輪状甲状膜切開
低酸素血症の評価と治療
Q&A
Q1: 手術後に喉頭浮腫や血腫が発生した場合、どのような対策が必要ですか?
A1: 気道確保のため、下顎挙上や項部後屈を行い、必要に応じてエアウェイや声門上器具を使用します。
また、マスク換気により換気状態を評価し、適切な換気法を実施します。
緊急事態では輪状甲状膜穿刺や輪状甲状膜切開を行います。
Q2: 上気道閉塞が解除されたのに血中酸素飽和度が上がらない場合、どうすればいいですか?
A2: 下気道閉塞の合併を考慮し、必要な評価と治療を行います。
例えば、喉頭癌手術後に負圧性肺水腫が生じている可能性があります。
低酸素血症が長時間続くと心臓や脳に負担がかかるため、迅速な対応が必要です。
Q3: 緊急時に気道確保ができない場合、どのような手段がありますか?
A3: 換気不能・挿管不能(CVCI)の状況では、外科的処置が必要です。
気管切開を行う時間がない場合、輪状甲状膜穿刺や輪状甲状膜切開を救命的気道確保手段として行い、小口径の気管チューブを挿入します。
緊急事態に備え、適切な訓練と器具の準備が重要です。
おわりに
手術後の喉頭浮腫や血腫に悩まされることは、誰もが避けたい状況です。
本記事を通して、緊急時の気道確保テクニックや低酸素血症対策、上・下気道閉塞解消法など、安全な術後ケアのポイントを理解していただけたことでしょう。
これらの知識と対策を活用し、手術後のリカバリーをスムーズに進めていただければ幸いです。
参考文献
周術期管理チームテキスト第4版