こんにちは、パパでナースです。
今回は【術後せん妄】についてお話していきます。
術後せん妄は、患者さんだけでなく家族にも大きな不安を与える症状です。
しかし、適切な予防や対策によって、発症リスクを軽減することができます。
この記事では、せん妄が発生しやすい状況やリスク要因を理解し、日常生活に近い環境を整える方法や、医療チームと家族が連携して患者サポートを行う重要性について解説します。
Contents
まとめ
術後せん妄は手術後に急激に発症する精神障害で、特に高齢者に多く見られます。
発症すると看護やケアが困難になり、患者や家族に大きな悩みをもたらすことがあります。
術後せん妄の予防と認識が重要であり、適切な環境整備や家族との連携が必要です。
高齢者や認知症患者、睡眠障害や疼痛がある患者がリスク因子となる
せん妄の症状は急激に発症し、1日の中で変動することがある
環境面の改善や精神的な支持が予防に効果的
患者と家族の不安を軽減させるため、適切な説明とサポート体制が重要
せん妄の予防について
せん妄は予防が重要で、要因となる因子を取り除くことが必要です。
環境の改善や、患者の精神的支持が大切です。適度な環境を整えることで、せん妄の予防が期待できます。
HELPプログラムは、患者の環境を日常生活に近づけるための方法の一つです。
具体的には、話し合いや言葉遊び、身体拘束の回避、睡眠環境の改善、脱水の早期補正などが含まれます。
せん妄対策には、日本版のガイドラインがあり、夜間の睡眠環境整備や早期離床、リハビリテーションの重要性が言及されています。
せん妄の前駆症状に注意し、医療チームと家族との情報共有が重要です。
せん妄は要因によって引き起こされる症候群であり、精神症状だけでなく、身体症状も診察し、要因を改善することが大切です。
対症療法だけでなく、根本的な治療を行うことが必要です。
せん妄は患者と家族に大きな不安を与えるため、病態の説明や症状が一過性であることを伝え、家族と連携した患者サポート体制を作ることが重要です。
術後せん妄のリスク因子
術後せん妄は一般的に入院患者の10〜30%、高齢者では10〜40%の割合で発生し、麻酔・手術後や集中治療中ではさらに増加するとされています。
術後せん妄のリスクは、身体への侵襲や鎮痛薬・鎮静薬の影響によって高まります。
術後せん妄のハイリスク患者には、高齢者、中枢神経系の疾患、熱傷や透析患者、感染症や外傷が持続する患者が含まれます。
特に心臓手術、臓器移植手術、股関節手術などの高度侵襲手術を受ける患者がリスクが高いとされています。
また、術後の睡眠障害もリスク因子であり、特に集中治療室などの光や雑音、検査やバイタル測定による睡眠中断がある環境で影響が大きくなります。
疼痛のコントロールが不良である場合も、せん妄発生のリスクが高まります。
Q&A
Q1: せん妄の予防にはどのような方法がありますか?
A1: せん妄の予防には、患者の環境を日常生活に近づけることが重要です。
具体的には、環境面の改善、時間や場所を意識させる精神的な支持、適度なコミュニケーションや刺激、睡眠の質改善や脱水の早期補正などが挙げられます。
Hospital Elder Life Program (HELP)は、これらの薬剤を用いないせん妄予防法の一例です。
Q2: 術後せん妄のハイリスク患者にはどのような特徴がありますか?
A2: 術後せん妄のハイリスク患者には、高齢者、中枢神経系の疾患、熱傷や透析患者、感染症や外傷が持続する患者が含まれます。
手術としては、心臓手術、臓器移植手術、股関節手術などの高度侵襲手術がリスクが高いとされています。
Q3: せん妄の早期発見のためには、どのような前駆症状に注意すべきですか?
A3: せん妄の早期発見のためには、落ち着きのなさ、不安、奇妙な行動、刺激に対する過剰反応などの前駆症状に注意が必要です。
医療チーム内で情報共有を行い、家族からの情報も大きな手がかりとして活用することが重要です。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
術後せん妄は、患者さんとその家族にとって大変な試練となることがありますが、適切な予防策や対処法を知ることで、発症リスクの軽減や症状の改善が期待できます。
この記事を通じて、せん妄のリスク要因や対策について理解を深めたことで、患者さんや家族が安心し、医療チームと連携してより良いサポートができることを願っています。
せん妄予防や早期発見のポイントを活用し、患者さんのQOL向上に貢献しましょう。
参考文献
周術期管理チームテキスト第4版