こんにちは、パパでナースです。
今回は【災害対策(地震編)】についてお話していきます。
地震はいつ起こるかわからない恐怖の存在です。
その中でも、手術室で働く看護師にとっては、患者の安全確保と自身の命を守るために、適切な対応が求められる大変な状況です。
この記事では、地震が発生した際に手術室で働く看護師が知っておくべき対策や、緊急時の行動指針について解説します。
これを機に、自分がどのように対応すべきかを再確認し、防災意識を高めましょう。
地震時に慌てず、適切な判断と行動ができるようになることが、患者やチームの命を救うカギとなります。
Contents
地震対策
目的
手術室における地震および二次災害に対して、日常より防災に努める。地震発生時は、被害を最小限にすることができる。
用語の定義
ここでいう二次災害とは、地震によって引き起こされる停電、医療ガスの供給停止をいう。
必要物品
手術室における防災に関するマニュアルを日頃より整備しておく。物品と配置場所は各施設で検討されることが望ましい。
一例として:
中央配備:メガホン、懐中電灯(ヘッドランプタイプ)、担架、担架用抑制帯、ヘルメット、非常持ち出し用リュックサック
各手術室:バッグバルブマスク(アンビューバッグ)、麻酔器に搭載された酸素を含めた医療用ガスボンベ、バッテリー機能付きモニター、非常持ち出し薬品、緊急用品(ステープラー、各種ドレープ、滅菌シーツ、消毒薬、緊急手術器械セットなど)
必要な知識
当該施設の耐震構造の知識を持つ。震度に応じた被害発生状況(震度5:大きな被害はない、震度6弱:人が立っていることは困難、震度6以上:棚の中の物はほとんど飛び出し、散乱する。職員の転倒や手術台の患者が転落する危険性が高い)への理解が必要である。
地震発生時には、引き続き余震や二次災害が起こる可能性があることを認識する。
非常用電源には、病院電気設備の安全基準に基づき、一般非常電源(電力供給停止40秒以内)、特別非常電源(電力供給停止10秒以内)、瞬時特別非常電源(無停電電源・電力供給停止0.5秒以内)がある。
地震対策の重要性
地震対策においては、遭遇したときの対応だけではなく、いかに被害を最小限にするかを日ごろから意識して考え、行動することが重要です。
また、発生時の指示命令系統を決めて周知しておくことや医療チーム(看護師、医師、コメディカル)の役割分担を決めて周知しておくことも重要です。
地震発生時、落下物や倒壊物による危険を回避し、職員は自らの安全を確保しつつ、患者の転倒、転落による危険を回避します。
職員や患者の安全を確保し、手術中の患者家族への情報提供も忘れてはいけないことのひとつです。
さらに地震の程度や被害状況によっては、手術を継続するか、中断するかの判断が必要となります。
地震発生時の対応
地震は台風などの自然災害と違い、予知や予測が難しいです。
そのため建物の耐震性を確保するとともにマニュアルの整備、医療機器や物品などの転倒・転落防止策を講じておくことが、それらによる外傷を回避し、患者やスタッフを守ることにつながります。
手術室には麻酔器や無影灯、内視鏡ラック、手術用顕微鏡などが患者を囲み、スタッフのすぐそばで使用されている場合が多いため危険が多いです。
地震発生時には手術操作の中断は必要であるが、すぐに閉創し手術を中止し、避難する必要はない。開始していない手術はすべて中止する必要があります。
院内の災害対策本部の指示を仰ぐ必要があるが、手術室やICU内でも責任者に指揮命令系統の統一を図り、停電や断水などの二次災害に対して対応を行いましょう。
また、医療材料や医薬品は供給が断たれてしまっても対応可能なように備蓄しておく必要です。
まとめ
手術室における地震対策は、日常から防災に努めることが重要です。
地震発生時は被害を最小限にするために、必要な物品や知識を整備し、職員や患者の安全を確保することが求められます。
また、実際の地震に対する対応事例を参考に、手術室全室にバッグバルブマスクや患者搬送用の担架を常備することが望ましいです。
看護手順における地震対策のポイント
日常的な防災訓練の実施
各施設の防災マニュアルに基づいて、定期的に防災訓練を行うことが重要です。
定期的な訓練により、職員の役割分担が明確になり、避難経路の確認ができます。
地震時の看護手順と留意点のまとめ
日常業務中
・生命に影響を及ぼす機器は、無停電電源に接続しておく。
・移動式カートや機器類は、ストッパーをかけて固定しておく。
・機器類を重ねる場合は、転倒防止のため固定する。
・倒れる可能性のある棚は、天井や壁に固定し、扉を閉めておく。
地震発生時
・職員は身を低くし、落ち着いた行動を取る。
・手術台の患者を支え、転落を回避しながら揺れが収まるのを待つ。
・意識のある患者に対しては、安全を確保した後で不安の軽減に努める。
・無影灯や顕微鏡などの頭上の機器の位置をずらす。
・器械出し看護師は、危険物や手術野の器械を回収する。
地震が収まった直後
・外回り看護師は、他の職員と連携し、患者の状態や手術室内の被害状況を把握し報告する。
・患者の生命に影響を及ぼす機器類の安全確認と作動状況を確認する。
・手術室全体の指揮者の指示に従い、迅速に行動する。
・各施設の防災マニュアルの手順に従い、被害状況を把握し報告する。
・意識のある患者に対しては、安全を確保した後で不安の軽減に努める。
これらの手順と留意点を踏まえて、地震時の看護対応を適切に行うことが大切です。
まとめ
地震時の看護対応は、日常の備えと緊急時の行動が大切です。
機器の固定や無停電電源の接続を確認し、地震発生時には落ち着いて対処しましょう。
揺れが収まった後は、患者の状態や被害状況を把握し、迅速に行動する。
患者の安全確保と不安軽減に努めることが重要です。
重要ポイント:
機器類の固定と無停電電源の確認
落ち着いた行動と患者の支え
患者状態の把握と安全確保
不安軽減への配慮
Q&A
Q1: 地震時に看護師が優先すべき対応は何ですか?
A1: 地震時に看護師が優先すべき対応は、患者の安全確保と支え、落ち着いた行動を取ることです。
揺れが収まった後は、患者の状態や被害状況を把握し、迅速に行動することが重要です。
Q2: 地震発生時に手術室で働く看護師が注意すべきポイントは何ですか?
A2: 手術室で働く看護師が注意すべきポイントは、患者の転落防止や無影灯・顕微鏡などの落下リスクに対する対策です。
また、機器類の固定やストッパーをかけるなどの日常的な備えも重要です。
Q3: 地震後、患者に対してどのようなケアが求められますか?
A3: 地震後、患者は不安が増強しやすい状況にあるため、安全を確保した後に速やかに不安の軽減に努めることが重要です。
患者の状態やニーズに応じて、適切なケアを提供することが求められます。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
本記事を通して、地震時に手術室で働く看護師が取るべき対策や行動指針を学び、防災意識を高めることができたことでしょう。
慌てず冷静に対応できることが、患者の安全やチームの命を守る重要な要素です。
今後も継続的な防災訓練や、日頃からの備えを怠らず、地震が起きた際にも冷静に対応できる力を身につけていきましょう。
あなたの適切な行動が、患者や仲間を守る力となります。
最後に、これまでの経験を大切にし、未来の地震に備えることで、より安全な医療現場を築く一助となります。
参考文献
周術期管理チームテキスト第4版