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手術室の清潔さを守る空調の役割

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こんにちは、パパでナースです。

今回は【手術室の空調】についてお話していきます。

医療現場で最も重要な要素の一つは、清潔な環境を維持することです。

そのため、病院内の各部屋は清浄度クラスに分類され、患者や医療従事者が安心して治療を行えるよう、厳密な空調や換気システムが適用されています。

しかし、この複雑な空気管理の仕組みについては、一般的にはあまり知られていません。

この記事では、病院の清浄度クラス分類から空調システムの役割まで、医療現場でのクリーンな環境を支える秘密を明らかにします。

それぞれのクラスにおける具体的な対策や注意点も解説し、医療従事者にとって役立つ情報を提供します。

ざっくり要約!!

・空調は、空気の清浄度、温度、湿度、気流(気圧)を制御し、適切な状態に保つことである。

・HEPAフィルタは、0.3μmの粒子に対して99.97%以上の濾過効率を持っている。

・手術室内は常に陽圧に保たれ、室内の同一方向に一定の量および速度で動く層流が適している。

・温度は患者の体温管理やスタッフの快適性のために、22〜26℃が目安である。

・湿度は40〜60%に調整する。

・気流(気圧)については、手術室内の圧力は廊下よりも高く、異なる清浄度クラスが隣接している場合には、クラスの高い方の圧力を高くしておかなければならない。

・換気回数は、手術室内の清浄度がHEPAフィルタを通過し循環する回数に依存する。

・病院内の各区域(室)の用途や目的に合わせて清浄度をクラス分類し、クラスごとに空調や換気を行い、清浄度によるゾーニングを行う。

・空気の汚染源はスタッフが主であることを理解しておかなければならない。

まとめ

空調は空気の清浄度、温度、湿度、気流を制御して適切な状態を維持します。

HEPAフィルタは高い濾過効率を持ち、手術室は陽圧に保たれています。

温度は22〜26℃、湿度は40〜60%が適切で、気流や圧力も調整されます。

換気回数は清浄度に影響し、病院内の各区域は用途に応じた清浄度クラス分類がされます。

空気の汚染源は主にスタッフであることを理解することが重要です。

手術室の空調性能について

手術室の空調性能は、周術期における感染リスクを軽減するために重要です。

空調は、空気の清浄度、温度、湿度、気流(気圧)を制御し、適切な状態に保ちます。

特に手術室では、高い清浄度を維持することが求められます。

空調設備

手術室の空調性能は、感染リスクを軽減するために重要です。

空調は空気の清浄度、温度、湿度、気流(気圧)を制御し、適切な状態に保ちます。

空調設備には、外気取り込み口、外気(プレ)フィルタ、中性能フィルタ、外気取り込みファン、空調機、HEPAフィルタ、吹き出し口、吸い込み口、差圧ダンパがあります。

温度は22〜26℃、湿度は40〜60%に調整されることが一般的です。

換気回数は清浄度によって異なり、清浄度が高いほど換気回数も増えます。

清浄度クラス分類について

病院内の各区域(室)に適切な空調と換気を提供するため、それぞれの用途に応じて清浄度をクラス分類し、ゾーニングを行います。

日本医療福祉設備協会規格HEAS-02-2013により、清浄度はクラスIからVに区分されています。

以前日常的に使用されていた通称NASA基準(Federal Standard 209)はすでに廃止されています。

清浄度クラスI(高度清潔区域)

バイオクリーンルームが該当します。

超高性能(HEPA)フィルタを使用した垂直層流方式または水平層流方式を適用し、周辺諸室に対して陽圧を維持しなければなりません。

吹き出し風速は、垂直層流方式で0.35m/sec、水平層流方式で0.45m/sec程度です。

このクラスは、以前のNASA基準でのクラス100に相当します。

清浄度クラスII(清潔区域)

一般手術室が該当します。

高性能以上のフィルタを使用して空気浄化を行い、周辺諸室に対して適切な室圧と気流の方向を維持しなければなりません。

滅菌器材を展開する部屋も、一般手術室と同等の清浄度クラスIIとなっています。

このクラスは、以前のNASA基準でのクラス10000に相当します。

清浄度クラスIII(準清潔区域)

手術手洗いコーナーやICUなどが該当します。

中性能以上(特に高性能側)のフィルタを使用し、清浄度クラスIV以外の区域に対して陽圧を保ち、適切な室圧と気流の方向を維持しなければなりません。
清浄度クラスIV(一般清潔区域)
回復室や一般病室などが該当します。

複数の部屋に供給するオーバーダクト空調方式の場合、中性能以上のフィルタを使用することが望ましく、感染防止対策上も適切な気流が得られるように、吹き出し口と吸い込み口の位置関係を検討しなければなりません。

清浄度クラスV(汚染管理区域)

RI管理区域諸室などが該当します。

室内圧を周辺区域よりも陰圧に維持し、室内の有害な汚染空気が室外に漏出することを防止しなければならない。

清浄度クラスV(拡散防止区域)

汚物処理室などが該当します。強制排気設備を設け、室内の不快な空気が外部に漏出しないように注意しなければならない。

手術室の空調は、24時間稼働している方が清浄度を保つうえで理想的と言えます。

しかし、経済的な理由から、夜間は停止している施設もあります。

その場合、手術の1時間以上前には空調を開始し、清浄度を上げておく必要があります。

ただし、清浄度クラスIのバイオクリーンルームであっても、入室しているスタッフの数が多くなれば、ほこりの数も増えます。

ほこりには、人の皮膚や毛髪、織物繊維、花粉、カビ、真菌類、昆虫の細片、手袋のパウダー、紙繊維などが含まれていますが、手術室の空気の汚染源は主にスタッフであることを理解しておかなければなりません。

病院内の清浄度クラス分類は、各区域の用途に応じて空調や換気を行い、患者とスタッフの安全を確保するために重要です。

上記の情報をふまえ、適切な清浄度クラスを維持することが求められます。

Q&A

Q1: どのような基準で病院内の清浄度クラスが分類されていますか?

A1: 病院内の清浄度クラスは、日本医療福祉設備協会規格HEAS-02-2013に従って、クラスIからVまでの5つに分類されています。

それぞれのクラスは、病院内の各区域(室)の用途や目的に応じて設定されており、適切な空調や換気が行われています。

Q2: 手術室の空調はどのように管理されているのですか?

A2: 手術室の空調は、理想的には24時間稼働させることで、清浄度が保たれます。

しかし、経済的な理由から夜間は停止している施設もあります。

その場合、手術の1時間以上前には空調を開始し、清浄度を上げておく必要があります。

Q3: 手術室の空気の汚染源は何ですか?

A3: 手術室の空気の汚染源は主にスタッフであり、人の皮膚や毛髪、織物繊維、花粉、カビ、真菌類、昆虫の細片、手袋のパウダー、紙繊維などが含まれるほこりが原因です。

清浄度クラスIのバイオクリーンルームであっても、入室しているスタッフの数が多くなれば、ほこりの数も増えるため、注意が必要です。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

この記事を通じて、病院内の清浄度クラス分類や空調システムについての理解が深まったことでしょう。

これらの情報は、医療従事者にとって重要な知識であり、患者に安心感を与えるためにも役立ちます。

医療現場で働く皆さんは、日々患者の安全と快適を追求しています。(ですよね)

私たちが使用する各部屋やエリアは、厳密な清潔管理が行われていることを改めて実感し、医療従事者の努力に感謝する機会となれば幸いです。

どんな状況下でも、清潔な環境を維持することが医療の基本であることを忘れず、これからも信頼できる医療を提供し続けていきましょう。

参考文献

周術期管理チームテキスト第4版

日本医療福祉設備協会HP

ABOUT ME
パパdeナース@オペ室
2013年入職よりずっとオペ室で看護師してます。メンズナースです。男の子の親でもあります。主に仕事や育児についての読書ブログ書いてます。
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