こんにちは、パパでナースです。
今回は【悪性高熱】についてお話していきます。
聞いたことはあるけど、実際に遭遇したことはないという方が多いと思います。
ただ、発症したときにはとても緊急性が高いため迅速な処置が必要です。
麻酔科医との連携も大切です。
ぜひ一緒に学んでいきましょう!!
Contents
悪性高熱とは
悪性高熱は遺伝性疾患で、若者に多く、特定の薬物により筋細胞のカルシウム濃度が増し、過剰な熱産生により高熱を引き起こします。
速い進行性が特徴で、体温が41℃以上になると半数以上が死亡。
麻酔中に発症した場合、迅速な対応が必要。予防として既往歴と家族歴の確認、疑わしい場合の予防措置が重要です。
要点
常染色体優性の遺伝性疾患。
若者に多い、1万〜8万人に1例の発症率。
特定の薬物によりカルシウム濃度が増加し、高熱を引き起こす。
体温が41℃以上になると致死率は50%以上。
麻酔中の発症には迅速な対応が必要。
筋生検による誘発テストで確定診断。偽陰性も存在するため注意が必要。
既往歴や家族歴の確認、疑わしい場合は予防措置が重要。
臨床症状について
悪性高熱の臨床症状は開口障害、呼気二酸化炭素濃度上昇、低酸素血症、頻脈などの初期症状から始まり、急激な体温上昇、不整脈、全身の発汗、筋硬直に進行します。
さらに進行すると、横紋筋融解症状(ミオグロビン血症など)、腎不全、DICに至ります。
要点
初期症状には開口障害、呼気二酸化炭素濃度の上昇、低酸素血症、頻脈がある。
体温が急激に上昇(15分毎に0.5℃以上、または1時間に2℃以上、または体温が40℃以上)。
代謝性・呼吸性アシドーシス、不整脈、全身の発汗、筋硬直が現れる。
横紋筋融解症状(ミオグロビン血症、ミオグロビン尿、CPK、LDH、GOTの上昇、高カリウム血症)が進行する。
最終的に腎不全、DIC(播種性血管内凝固)へと進行する。
対処法について
悪性高熱の発症時、麻酔器具を交換し、100%酸素で過換気を行います。
手術・麻酔は早期終了が望ましい。ダントロレンを静脈内投与し、全身を冷却。
不整脈、アシドーシス、高カリウム血症への対症療法、利尿薬投与、侵襲的モニターの留置などが必要です。
要点
麻酔器具の交換と100%酸素での過換気が初めの対応。
手術・麻酔はできるだけ早く終了させる。
ダントロレンを静脈内投与し、全身を冷却する。
不整脈、アシドーシス、高カリウム血症に対する対症療法。
利尿薬の投与と侵襲的モニター(動脈カテーテルや中心静脈カテーテルなど)の留置。
麻酔法
悪性高熱が疑われる場合、麻酔は神経ブロックと静脈麻酔を選択し、非脱分極性の筋弛緩薬を使用します。
中枢体温と呼気終末二酸化炭素濃度のモニタリングは欠かせません。
また、動脈血ガス分析を適宜行い、尿道カテーテルも必要となります。
要点
悪性高熱発症の可能性がある場合、麻酔は神経ブロックと静脈麻酔を用いる。
筋弛緩薬の使用は非脱分極性のものを選択する。
中枢体温と呼気終末二酸化炭素濃度のモニタリングは重要。
適宜、動脈血ガス分析を行う。
尿道カテーテルの留置が必要。
Q&A
Q1: 悪性高熱が発症した場合の初期対応は何ですか?
A1: 初期対応として、麻酔器具の交換と100%酸素での過換気が必要です。
さらに、手術や麻酔はできるだけ早く終了させることが望ましいです。
Q2: 悪性高熱の症状進行に伴う対策は何ですか?
A2: ダントロレンを静脈内投与し全身を冷却します。
不整脈、アシドーシス、高カリウム血症に対する対症療法を行い、利尿薬を投与します。
また、循環・代謝を管理するために侵襲的モニター(動脈カテーテルや中心静脈カテーテルなど)の留置が必要です。
Q3: 悪性高熱を発症する可能性がある場合の麻酔法は何ですか?
A3: この場合、麻酔は神経ブロックと静脈麻酔を選択し、筋弛緩薬を投与する場合は非脱分極性のものを使用します。
中枢体温と呼気終末二酸化炭素濃度のモニタリングは重要で、動脈血ガス分析を適宜行い、尿道カテーテルも留置します。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
悪性高熱は危険な状況を引き起こす可能性がありますが、適切な知識と対策で管理することが可能です。
この記事を通じて、その臨床症状、対処法、そして麻酔法について理解を深めていただけたことでしょう。
いざという時に正しい対応をとるために、これらの情報を心に留めておくことが大切です。
それぞれの役割を理解し、協力して悪性高熱と向き合うことで、患者さんの命を救う一助となることを願っています。
引用文献
周術期管理チームテキスト第4版