問題：妊娠20週以降の母体の心肺蘇生について誤っているのはどれか。(2022 b2)
a用手子宮左方圧排を行う。
b心停止の原因として羊水塞栓症がある。
c子宮を挟まない位置に除細動パッドを貼る。
d換気効率を上げるため、気管チューブは太いものを選択する。
e蘇生処置を4分間行っても心拍再開が得られない場合、死戦期帝王切開を行う。
解答
d
解説
a◯ 子宮左方移動ー右臀部に丸めたタオルを入れる,もしくは手術台 自体を左側が少し下がるように傾けることで,子宮 を左方向へ移動させ下大静脈の圧迫を軽減することが可能で低血圧への対処として有用である.（p.719）
b◯羊水や胎児成分が母体血中へ流入することで肺血 管攣縮や肺微小血管の機械的閉塞を生じ,肺高血圧 症および呼吸循環不全を引き起こす(p.725)
c◯実際に妊婦に発生した心室細動に対して300Jの体外式除細動を与えても胎児に影響が見られなかったとする報告もあります(Chest 1970;58:82-4)。
【日本心臓財団】https://www.jhf.or.jp/check/aed/maternity/
d×気道確保として気管挿管を行うが,非妊婦よりも やや細めの気管チューブ(内径6.5〜7.0 mm)を使 用し,気管挿管後は呼気二酸化炭素分圧波形で確実 に気道確保に成功したことを確認してから手術を開 始してもらう(p.722)
e◯ 死戦期帝王切開術施行の判断基準として,母体救命の可能性があること,母体救命目的の帝王切開で胎児の生死は問わないこと,妊娠子宮が血行動態を悪化させている可能性や子宮底が臍に達する程 度(妊娠20週以降)であることがあげられている.(p.726)
引用文献
周術期管理チームテキスト第4版
リンク
