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書評15冊『病んだ家族、散乱した室内』春日武彦(2001)

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精神科医である春日氏による精神疾患患者とその家族に関わる上で実際にあったことを世間体や一般論を度外視し、現実的に著者自身がみたありのままを伝えていく本である。興味深く、生々しい現実がそこにある。

こんな人に読んでほしい

・在宅看護、介護をしているひとでさらに家族について知見を広げたい人

・よくテレビなどで報道されるゴミ屋敷で住んでいるひとってどんなひとなの?と疑問に思う人

・訪問医療って言葉に興味がある人

本の紹介文 

こんにちは、パパdeナースです!

コロナの影響もあり、職場のオペ室も例外なくカオスです。

しかも、件数は減ったものの通常のオペもなんだかんだやっています。

通常のオペもやりつつ、その上コロナ対応も迫られている現状です

最近ではコロナ疑い、もしくは陽性の患者を手術したなどの報道もあり、

当院もいつその状況になってもおかしくありません(早く体制を作ってー)

そんなこんなで最近は読書する機会もなくやっとG.Wということで時間を作ることができました。

今回は、精神疾患を抱えた人の家庭を訪ねる精神科医の春日先生の現場をリアルに描写した本になります。

本でも書かれていますが、家庭とは異界であり、グロテスクである、と述べられています。

僕自身、学生のときとかは友だちの家に行くのは何の抵抗もなかったですが、

子どもができて家族ぐるみで家に遊びに行くとかなるとなんか胸がもやもやする感じがありました。

人の家に行くことってその人の内面をより具現化したものを見せられているようでなんか落ち着かないんですよね。

ただこの本は、僕の思っていることの100倍以上グロテスクな現状を書き記してありました。

現実はすごい。おぞましい。

家庭は異界と書かれていますが、

家ごとで多かれ少なかれ慣習というものが存在しているわけで

その中には家庭でのルールがあります。

そのルールの積み重ねが他人に入る余地を残さない独自の小宇宙を作っているとも言えるのです。

カラスと一緒にゴミをあさる一人息子、鎖につながれた老女、60リットルの腹水、エイズノイローゼ、、、などなど

下手な小説を読むより刺激的で社会について考えさせられることがあります。

著者の現実を淡々と見すえ、今ある手段を施しその場での最善策を取っていく姿にこれこそプロフェッショナルの鏡であると感じずにはいられませんでした。

本文でもたまに市役所の役員に毒づいたりする場面とか見ると人間味がありとても共感を持てました。

ぜひ取ってみてください。

 

この本でビビッときた文章

・本書では、イメージとしてどのように適切に疾患や問題事項を理解すべきか、偽善ではない本音の援助を推進するにはどのような「覚悟」とテクニックを必要とするのか、すべてがハッピーエンドに終わるわけではないのだからいかに自分の心と目の前の事態とのすり合わせを行い、無意味な罪悪感や無力感に囚われないようにするべきか、そういった本当の意味で「援助者に役立つ本」であることを目指した。(p5)

・部屋や家をたんなる物理的な空間にすぎないと思っているうちは、我々の仕事はけっして円滑に運ぶことはないだろう。(p 24

・他人と共存することによって必然的に生ずるある種のルーチンやリズムや成り行きこそが、我々に自然発生的な規律や安定をもたらしている部分があるということだろう。(p28

・家は異界であり、そこには住人の心が無防備なままさらけ出されているのである。(p 58

・何よりも家庭が一種の閉鎖社会であり独立した小宇宙であることの意味をわたしが痛感したからである。(p 77

・家庭というものは本来、安心して自分を無防備にすることのできる一種のシェルターである。暖かく守り込んでくれ、心を休ませることのできる独立国である。(p 91

・結論だけ言ってしまえば、援助者が心の余裕をもてるかどうかがじつに重要な鍵であり、そのためには「とにかくひととおりのことはおこなった。自分の気持ちに正直なかたちで、考え得る選択肢はすべて検討した。ないものねだりをしても仕方がない、あとは待機するしかないだろう」といった思いに至れるかどうかが肝要となる。(p 210

今日からできる小さなステップ

・この本を読んだことで、今度家に遊びに行った時に観察してみる。(なんか変態やな)

1行まとめ

何より家庭が一種の閉鎖社会であり独立した小宇宙であること

今日の息子くん

最近はついに公園もロックダウン(閉鎖)してしまいました。

ぼくら家族は完全に公園難民になってしましました。

遊具に禁止のテープが貼ってあるのを見て、

「遊具もおやすみ?」

と子どもの悲しそうな顔が胸に痛みます

仕方ないけど、今はふんばりどき!

これで完全にコロナを封じ込めできればまた遊べるからそれまでの辛抱、と自分にも言い聞かせています

そんなわけで最近では家で過ごすことが多くなり、そのため絵本を買うことが爆増しました。

10万円の補助金を全部絵本にしてみてもいいかな、と思ったりしています

ちなみに最近おすすめなのは『バムとケロ』シリーズ(島田ゆか 作・絵)です

絵がかわいいんで、とても気に入っています

家具だったり、お店の商品なども細かく書かれていて何度見ても新しい発見があります。

ABOUT ME
パパdeナース@オペ室
2013年入職よりずっとオペ室で看護師してます。メンズナースです。男の子の親でもあります。主に仕事や育児についての読書ブログ書いてます。
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