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書評014冊『あなたの知らない「家族」遺された者の口からこぼれ落ちる13の物語』柳原清子 

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遺族の視点で語られた闘病記です。120ページ弱で会話をメインにしているため内容とは裏腹にとてもすらすらと読める本となっています(内容は重いですが)。各家族それぞれの亡くなった方への胸の内がまさに聞こえてくるようです。死とはなにか、家族とはなにか、そして幸せとはなにか、を否が応でもにも考えさせてくる本です。

こんな人に読んでほしい

・なかなか患者さんや家族の気持ちが聞き出せないでいる医療従事者

・健康で精神的ストレスがない人(内容が結構重いため)

本の紹介文

こんにちは、パパdeナースです。

最近は新型コロナウイルスの影響でなかなか外出にも軽々行けなくなりました。(2020327日現在)

うちの息子(211ヶ月)も児童館、図書館、公園と遊ぶ場がどんどん奪われてしまって少し退屈そうです。

現状が良くなることを願いつつ休日は自宅で安静にしている今日このごろです。

今回紹介させていただく本は、遺族から見た患者の闘病記になります。

13話取り上げられていて、筆者が直接遺族に話を聞いたことをベースに書かれています。

大きく5章に分かれていて、とくに、幼い子をなくして、という章が涙が出てくるほど読んでいて辛かったです。

なにが辛いかというと話に登場する患児を自分の子どもとつい重ねてしまうことで症状が悪化する描写など読み進めるたびに胸が引き裂かれる思いでした。

それも、亡くなる子どもたちの病名が神経芽腫、小脳髄芽腫、脳腫瘍と脳の病気であり、助かる見込みもかなり低く、しかも症状が急激に悪化するものでした。

本を読んでいるだけですでに動揺してしまい、涙を抑えれなかったのに当事者だったらきっと気が動転するのは間違いないなと。

患児の昨日まであたりまえにできていた行為が急にできなくなった(ご飯を食べられない、目が見えなくなる、しゃべられなくなるなど)場面を読むと胸が詰まる思いでした。

そんなこんなで1度目は読み終えるのにとても苦労しました。

それでも何度が読み直すことで考えさせられることがありました。

それは言い方は変かもしれませんが

家族の闘病生活や死は、その家族の日々の関係性が露骨に明らかにさせされる、と感じました。

どういうことかと言えば、普段家族をおざなりしているといざというときに家族お互いが協力できない、同じ目標に向けないということです。

この本の中のある話のひとつに子どもが亡くなったことで夫婦の溝がより深まったというエピソードがありました。

辛い経験を家族で支え合うことができれば、この子どもが亡くなる経験がこれからの人生にとってプラスになるのではないかと考えたからです。

(しかし、ぼくはただの一読者に過ぎず到底当事者の本当の気持ちまでは読み取ることができないのでこのような正論をかざしてしまっているように自分自身でも思います。)

ただ、それを差し置いてもこのような人生の中でのライフイベントの時に人間の本性というとおどろおどろしいですが、その個々人の人生の優先順位が明確に現れるのではないかと思うのです。

それにいいも悪いもないんです。

家族が優先の人もいれば、仕事、趣味、友人関係が優先順位が高い人もいます。

ただ、それがライフイベントが起きる前に事前に家族なり、パートナーの状況が把握できていればお互い理解して許容して人生をより良く進めると思いました。

ぼくはさっそく奥さんとこの本の感想を話したいと思います。

 

この本でビビッときた文章

・在宅は、暮らしと家族関係の綾が複雑に絡みあう場である。絡みあうというより「縺れあう」という表現がぴったりかもしれない。そこでは、単純な「疾病」というものはなく人は「病い」をかかえるのである、ということを意識させられた。(p3

・夫婦もそれぞれのあり方でいいですよね。私の1年はしげちゃんを偲ぶ1年であり、夫婦や家族のあり方を探す1年でした。(p 19

・「あの子の状態がよくなったらドライブに行こう」と私たち新車を買っていたんです。あの日の朝、最後のドライブを3人でしました。私たちが(空想で)ドライブしているとき、ヒロも確かにいっしょにいたんですよ。家族総出のドライブでした。(p 32

・自然のままで「ぼくは大丈夫!」と言っているようで、すごく穏やかな表情だったのです。そのときの時間が朝の5時ごろでしたが、たぶん3時に逝ったんではないかと思うのです。「ひとりで逝かせてしまった」と、悔やむ思いになったりもしました。でもみんなでそばでいましたから、これでよかったんだと思います。(p 53

・家に着いたら家内が「さっき元康から電話があったの。『母さんごめんよ』って言うの。先に逝くことを詫びるのよ。ああー」と泣きくずれていました。(p 77

・聞きとりの当初、私は当然、家族の口からこうした「闘い」の過程が出てくるものと思っていた。やがて、確かにその情景は語られてくるのだけれど、どうもそれだけではない、という気がしきりとしてきた。「雑としたもの」「暮らしの綾」が何本にも交叉した日常や文化や風土があって、その大きな枠の中に「闘い」の要素も含んだ、家族の姿が入っているようなのだ。(p 193

今日からできる小さなステップ

家族にこれからの人生で大切していきたいことを聞いてみる

1行まとめ

家族の死を見つめることでより自分や家族の人生の優先順位が明らかになるのである。

 

ABOUT ME
パパdeナース@オペ室
2013年入職よりずっとオペ室で看護師してます。メンズナースです。男の子の親でもあります。主に仕事や育児についての読書ブログ書いてます。
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