オープンダイアローグ(開かれた対話)について実例を通し紹介していく本となっている。著者が伝えたい対話の真意とは一体何のか。「自分とは違う他者の他者性」を尊重し共感し、理解する。さらにはそれを愛すこと。すべての対人関係に悩む人たちに送る最高のギフトである。
本の紹介
私は定期購読で看護雑誌『精神看護』を購読しているが
よくことあるごとに“オープンダイアローグ”が特集として挙げられている。
オープンダイアローグとは一体なんであろうか。
統合失調症に対する治療的介入の手法で、フィンランドの病院を中心に1980年代から実践されているものである。「開かれた対話」と訳される。統合失調症、うつ病、引きこもりなどの治療に大きな成果をあげており、発達障害の治療法としても期待されている。(wikipedia 引用)
オープンダイアローグには多くのルールや意義がある。
オープンダイアローグの7つの原則については以下の通り
『即時対応』
『社会的ネットワークの視点を持つ』
『柔軟性と機動性』
『責任を持つこと』
『心理的連続性』
『不確実性に耐える』
『対話主義』
である。
対話実践の基本要素については大まかに
『本人のことは本人のいないところでは決めない』
『答えのない不確かな状況に耐える』
がある。
ただ、私がはこのような原則を従うことがすぐさまオープンダイアローグを理解できるとは全く思っていない。
それほどオープンダイアローグは深い。
本書では実際に著者が患者さんに行った事例をあげている。
読んで驚いたのは、これこそが本当の対話なのか。
私が普段しているのは単なる言葉の羅列でしかなかったのかもしれない、感じずにはいられなかった。
そもそもオープンダイアローグはお互い平等である。
自分が普段している対話とは相手の感情、違いについて何も関係なしに自分の気持ちをただ相手にぶつける作業のような感覚に陥った。
相手の違いを理解し、共有することは自分は相手にできているんだろうか。
全くできていない。
全くだ。
相手と自分の差異を感じ取りそれを抱擁する力が自分にはとても足りないのではないか。
看護師でいうところの“傾聴”というものであろうか。
それをもっと具体的に指針を持ったものがオープンダイアローグではないかと考える。
すべての会話でオープンダイアローグをする必要は当然ない。
ただ、このことを頭の片隅でも気に留めておくだけでこれからの対話に救いが生まれる。
今後は言い争いで終始していた事柄も意識ひとつで相手の環境、心理的なものを汲み取れていくのではないだろうか。
今後、このオープンダイアローグはもっと有名になっていくだろう。
対話だけでと言うとおこがましいが対話の可能性がとても広がった。
対話で人を治すことができる。
これはAIには真似ができない。
オープンダイアローグがもたらされる社会がもっと身近になってほしい。