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書評011冊『ケア学』広井良典 (2001)

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『ケア学』という広井氏によって創られた言葉は、従来の医学・看護学、心理学、教育、社会福祉学、経済学などの学問の垣根を超える(越境する)ことで、ケアの本質をさまざまな角度から探求していこうとする渾身の一冊である。

本の紹介文

こんにちは、パパdeナースです

今回は、『ケア学』という本を読みました。

ざっくり言いますと前回読みました『ケアを問いなおす』のアップデート版です。

 

『ケアを問いなおす』(広井良典)https://papadenurse.com/booklist010

 

少し厚くて読むのにためらう方がいれば、まず上記の本をおすすめします。

本質的には筆者の伝えたい意図は『ケアを問いなおす』でも十分感じ取ることができます。

『ケアを問いなおす』を読んだ後に本書を読み進めていくと頭に入りやすいです。

(実際ぼくはこの順番で読みました。)

筆者も本書で書かれていましたが、アップデートされた点として何点か挙げていましたが、

その中でも“コミュニティ(共同体)”についての筆者の論考が興味深かったです。

ぼくの解釈としては、

現代は核家族化や少子高齢化によって戦後のような大家族や近所の人たちとの交流が激減してしまったんですね。

それにより、昔は高齢者(仕事を退職した人)が子どもたちに社会や遊びなど(本書では“人間の創造性”)を教え、子どもたちが高齢者からそれらを学んでいたことができなくなってしまったのです。

それらの人びととの交流がなくなり、孤立化してしまうのを(本書では「失われた共同体」)補い、再構築するための代案として“社会保障”という制度が必要になったそうです。

そのため、“社会保障”の本来の意味として人と人とのつながりを感じられるような環境を作ることが大切であると言っています。

本書では、“自分がどこかに帰属している”という感覚というのが発展することで望ましい老い方、最終的には死に方に結びついてくと言っています。

これらを読むことでぼくは、よりよい死とは“自分の望むコミュニティで最期を迎えること”であるのではないか思いました。

それが本来の在宅ケアの真髄であり、ただ単に家で療養することが在宅ケアではないと。

そこで思ったのは、最近話題になっているコミュニティ・ナースの存在についてです。

http://community-nurse.jp

コミュニティ・ナースとは、地域の住民たちとの関係性を深めることで、健康的なまちづくりに貢献する医療人材、のことです。

まさに、現代の人と人とのつながりの希薄さの問題点にアプローチしています。

今後、このようなコミュニティ関連についての事業が生まれたのは自然の流れだったのかもしれません。

また、このような関連の事業は今後さらに活発になるのではないかと考えます。

本書は多くの分野(医学・看護学、社会福祉学、心理学、経済学など)に広がりをもつ本です。

ケアに関わる医療従事者は読んで損はないかなと思います。

自分の関心のある章だけでもぜひ読んでみてください。

【送料無料】 ケア学 越境するケアへ シリーズケアをひらく / 広井良典 【本】

この本でビビッときた文章

・—ケアという行為は、通常考えられているように、たとえば、「私がその人をケアしている」といったことに尽きるのではなく、むしろ「私とその人が、互いにケアしながら、<より深い何ものか>にふれる」とでもいうような経験を含んでいるのではないか、—(p4)

・—現代におけるケアということの大部分は、もともと家族や共同体の内部でおこなわれていたものが「外部化」されたものである。(p21)

・ケアにあたっては、狭い分野や特定のモデルに閉じこもるのではなく、広くてさまざまな領域を見わたし、それらを積極的にとり込み、また必要な調整、コーディネートをおこなっていくことが必要になる。それは対象とする人間自体がさまざまなニーズをもつ存在であり、ひとつの全体だからである。(p54)

・—社会保障とは、経済の発展あるいは産業構造の変化につれて、家族や地域共同体などの「共同体(コミュニティ)」というものがしだいに「外部化ないし解体」していくことに対応して、そうした解体するコミュニティのもつ機能を再び回復するようなシステムとして働くものである、ということができる。(p116)

・「在宅ケア」というものは、決してたんに「物理的な意味」での在宅を意味しているのではなく、英語で“feel at home”つまり自分がその場所で安心感を得られること、そこに”根を下ろしているという感じ“がもてること、等などを意味するのであり、だとするとコミュニティの支えというものが極めて重要な要素となるのではなかろうか。(p126)

今日からできる小さなステップ

自分は何を大切に生きているのか、誰といるのが楽しいのかをちょっと振り返って考えてみる。

1行まとめ

『ケア学』は人間誰しも、人生で学ぶべき必須科目である。

 

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ABOUT ME
パパdeナース@オペ室
2013年入職よりずっとオペ室で看護師してます。メンズナースです。男の子の親でもあります。主に仕事や育児についての読書ブログ書いてます。
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