こんにちは、パパでナースです。
今回は【迅速導入】についてお話していきます。
麻酔の迅速導入は、誤嚥の危険性の高い患者にとって重要な技術です。
しかし、挿管困難を予測する状況や、薬物の選択に関しては、私たち医療従事者にとって常に考慮すべき課題です。
この記事では、誤嚥リスクを最小限に抑えつつ、低酸素血症の発生を防ぐための迅速導入の手順を詳細に解説します。
さらに、自発呼吸の回復が必要になった場合の対応や、最適な薬物の選択についても触れます。患者の安全と効果的な麻酔導入のための知識を深め、日々の臨床に生かしていきましょう。
Contents
迅速導入とは
迅速導入は麻酔薬投与後すぐに気管挿管を行う手法で、誤嚥の危険性が高い患者に適用します。
ただし、挿管困難が予想される場合は避け、自発呼吸を保持しながら挿管を行うべきです。
迅速導入の手順は、前酸素化、麻酔薬投与、そして気管挿管です。
重要なポイント:
迅速導入は誤嚥リスクの高い患者向け。
挿管困難予測時は迅速導入を避け、自発呼吸保持が必要。
迅速導入手順は前酸素化、麻酔薬投与、気管挿管の順。
前酸素化とは
前酸素化は、効率的に肺内の窒素を酸素に置き換え、低酸素血症の発症を遅らせる手法です。
顔面にマスクを密着させ、深呼吸や高流量酸素投与(10L/分以上)を用いると、肺の脱窒素時間が短縮します。
呼気酸素濃度は90%以上が目安で、通常94%以上にはなりません。
重要なポイント:
前酸素化は肺の窒素を酸素に置き換え、低酸素血症を遅らせる。
マスクを顔面に密着させ、深呼吸と高流量酸素投与で脱窒素時間を短縮。
呼気酸素濃度は90%以上が目安、通常は94%以上にならない。
Sellick 法とは
Sellick法は、輪状軟骨を前方から圧迫し、食道入口部を閉塞させて誤嚥を防止する手技です。
約3kgの力で輪状軟骨を圧迫し、食道入口部を閉塞させます。ただし、不適切な実施は喉頭展開や気管挿管を困難にします。
重要なポイント:
Sellick法は食道入口部を閉塞させ、誤嚥を防止する。
約3kgの力で輪状軟骨を圧迫し、食道入口部を閉塞。
不適切な実施は喉頭展開や気管挿管を困難にする可能性がある。
使用薬物について
迅速導入では、誤嚥リスクと低酸素化を避けるために、作用発現が早く、作用時間が短い薬物が必要です。
筋弛緩薬ではスキサメトニウムが一般的でしたが、合併症のリスクからロクロニウムが好まれるようになりました。
自発呼吸回復時には、スガマデクスが必要です。
鎮静薬としては、プロポフォールやバルビツール酸が適しています。
重要なポイント:
迅速導入には作用発現が早く、作用時間が短い薬物が必要。
スキサメトニウムからロクロニウムへの移行が見られる。
自発呼吸回復時にはスガマデクスの使用が必要。
鎮静薬としてプロポフォールやバルビツール酸が適用される。
手順について
迅速導入の手順はまず、3分間の前酸素化を行い、確実な静脈路の確保後に鎮静薬と筋弛緩薬を投与します。
意識消失確認後にSellick法を実施し、マスク換気は避けます。
低酸素血症時のマスク換気は20cmH2O以下の圧力で行います。
気管挿管後、カフに10mLの空気を迅速に注入し、呼気CO2モニターで留置確認後に輪状軟骨圧迫を解除します。
重要なポイント:
前酸素化と静脈路確保が必要。
鎮静薬と筋弛緩薬の投与後、Sellick法を実施。
低酸素血症時には、適切な圧力でマスク換気を行う。
気管挿管後、カフに空気を注入し、留置を確認後に輪状軟骨圧迫を解除。
Q&A
Q1: 迅速導入とは何でしょうか?
A1: 迅速導入は、麻酔薬投与後にすぐに気管挿管を行う麻酔導入法で、誤嚥の危険性が高い患者に適用されます。
この方法では、マスク換気は避けます。
Q2: 迅速導入を避けるべき症例は何ですか?
A2: 挿管困難が予測される症例では迅速導入を避けます。
挿管に時間がかかると、無呼吸時間が長くなり、マスク換気を行わないと低酸素血症のリスクが高まるためです。
Q3: 迅速導入に使用される麻酔薬や筋弛緩薬にはどのような特性が求められますか?
A3: 迅速導入に使用する筋弛緩薬や鎮静薬は、作用発現が早く、作用持続時間が短いことが求められます。
これにより、気管挿管の時間を短くし、誤嚥リスクや低酸素血症の可能性を低下させることができます。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
迅速導入のプロセスは緻密かつ緊密な連携が求められるエリアで、その成功は患者の安全と直結します。挿管困難のリスク、薬物選択の重要性、前酸素化とSellick法の精巧な利用、それぞれが麻酔成功への鍵となります。
この記事を通して、さらなる知識の深化を遂げたことでしょう。
それぞれの職場で得た知識を活かし、患者さんへの最善のケアを提供しましょう。
日々の医療現場での挑戦と向上心が、よりよい医療を創り出す原動力となります。
引用文献
周術期管理チームテキスト第4版