今世界各国で格差や分断が見られる。アメリカなんてまさにそうで、人間はお互いを分かちあい、理解し合うことはできないのではないかと頭をもたげてしまう日々である。しかし、そんな中本書は人類にとってまさに一筋の光をもたらそうとしている。科学的実証に基づく性善説である。氏の「人間は仲間同士で相互理解を実現できると私は信じている」という言葉。これはまさに希望を具現化した書物である。
●以下抜粋●
私たち一人一人が自分の内部に「善き社会を作り上げるための進化的青写真」を持っているという点にある
社会性一式・・・社会的な一連の重要な特徴を中心とし、人間が自ら善き社会とみなす物を作る理由に関わっている、人類の進化上の遺産から導き出されるもののリスト
あらゆる社会の核心には社会性一式が存在する
社会的一式とは
1、個人のアイデンティティを持つ、またそれを認識する能力
2、パートナーや子どもへの愛情
3、交友
4、社会的ネットワーク
5、協力
6、自分が属する集団への行為(内集団バイアス)
7、ゆるやかな階級制(相対的平等主義)
8、社会的な学習と指導
私たちに内在する青写真に突き動かされたり、さらには周囲の力に引きずられたりしたとしても、社会性一式を捨て去ることは容易ではないし、可能でもない。
協力し合うという性向は個人の特性であるだけでなく、集団の特性でもあるのだ。協力は友情の絆の形成を律するルールに依存している。善良な人々も悪事を働くことがあるのは、個人や集団が抱いている信念がどんなものであれ、彼らが埋め込まれているネットワーク構造の帰結に過ぎない。
人間の美徳の大半は社会的美徳であるということだ。人は、愛、公正、親切を大切にするかぎり、それらの美徳をほかの人びとに関していかに実践するかを大切にする。あなたが自分自身を愛しているか、自分自身に公正であるか、自分自身に親切であるかは、誰も気にかけない。人が気にするのは、あなたがそのような資質を他人に対して示すかどうかだ。それゆえに友情は道徳の基盤となるのである。