こんにちは、パパでナースです。
今回は【死腔換気】についてお話していきます。
深呼吸をするとき、あなたは自分の肺がどのように働いているか考えたことがありますか?
そんな身近な呼吸のメカニズムには、見えない驚きの世界が広がっています。
解剖学的死腔から肺胞死腔まで、そして自発呼吸から人工呼吸への換気の違い、一見難解に思えるこれらの概念が実は私たちの生命を維持する大切な役割を果たしています。
Contents
呼吸器 解剖について
私たちの気道は、鼻・口腔から始まり、20〜23回の分岐を経て肺胞まで続いています。
これらの肺胞は約5億個あり、ブドウの房のような形状をしており、効率的なガス交換を可能にするために肺毛細血管網によって覆われています。
重要な部分
気道は鼻・口腔から始まり、喉頭までを上気道、それ以下を下気道と呼ぶ。
下気道は気管・気管支・細気管支と分岐を繰り返し、最終的に肺胞となる。
肺胞の数は約5億個で、ガス交換が行われる場所である。
肺胞は肺毛細血管網に取り巻かれ、総表面積は50〜100 m²にも及ぶ。
換気のメカニズム
自発呼吸では、呼吸筋が動き、肺が拡張・収縮し換気が行われます。
この時、肺胞内圧が下がり、ガスが肺内へ流入します。
一方、人工呼吸では陽圧換気が行われ、ガスが気道から肺内へ送り込まれます。
いずれの場合でも、呼気は肺の弾性収縮力によりガスが排出されます。
重要な部分
自発呼吸では、呼吸筋の働きにより肺が拡張・収縮し、換気が行われる。
肺は胸壁内側を覆う壁側胸膜と肺を包む肺胸膜によって覆われている。
強い努力性の吸気時には胸腔内圧は-30cmH2Oほどにも達する。
人工呼吸中の換気は陽圧換気と呼ばれ、気道からガスを送り込み、肺の中を陽圧にする。
呼気は肺の弾性収縮力によりガスが排出される。
死腔換気について
呼吸道の一部はガス交換に関与せず、これを解剖学的死腔と呼び、成人では約150mLです。
人工呼吸中はこの死腔が増えます。
また、肺胞の中には換気されているが血流が乏しくガス交換が行われない肺胞死腔があり、これが増加すると呼吸不全の原因となります。
重要な部分
口腔・咽頭から細気管支までの部分はガス交換に関与しない解剖学的死腔で、成人では約150mLある。
人工呼吸中は、人工呼吸器や挿管チューブの部分も死腔となる。
ガス交換に関与するはずの肺胞の一部では、血流が乏しくガス交換が行われない肺胞死腔が存在する。
肺塞栓や肺気腫などの病的状況で肺胞死腔が増加すると、呼吸不全の原因となる。
解剖学的死腔と肺胞死腔を合わせたものが生理学的死腔となる。
Q&A
質問1: 何を指して「解剖学的死腔」と言いますか?
回答1: 「解剖学的死腔」は、口腔から細気管支までの空気の通り道を指します。
この部分はガス交換には関与せず、成人では約150mLを占めます。
質問2: 人工呼吸中の換気と自発呼吸中の換気はどのように違いますか?
回答2: 自発呼吸では、呼吸筋の動きにより肺が拡張・収縮し換気が行われます。
一方、人工呼吸中の換気は陽圧換気と呼ばれ、気道からガスを送り込み肺の中を陽圧にすることで肺内へガスが流入します。
質問3: 肺胞死腔とは何でしょうか?また、それが増加するとどのような影響がありますか?
回答3: 肺胞死腔とは、本来ガス交換に関与する肺胞の中で、換気は行われているものの血流が乏しくガス交換が行われない領域のことを指します。
肺塞栓や肺気腫などの病的状況で肺胞死腔が増加すると、呼吸不全の原因となります。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
この記事を通じて、私たちが日々自然と行っている呼吸の驚くべきメカニズムを探求する旅を楽しんでいただけたでしょうか。
解剖学的死腔から肺胞死腔、自発呼吸から人工呼吸まで、これら全てが織りなす複雑なシステムが、私たちの体内で息を吹き込み、生命を維持しています。
ぜひ今後の手術看護に活かしていってください。
引用文献
周術期管理チームテキスト第4版